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3/26 花盛り

コブシ  辛夷
[モクレン科モクレン属:落葉小〜高木]
Magnolia kobus

山野に生え、5〜18mほどになる木。
桜が咲くより早く、春先に白い花を 枝いっぱいに咲かせる姿で 目をひきます。
ハクモクレン、タムシバ(別名・ニオイコブシ)など そっくりさんも多数。



よく聞かれるのですが、ハクモクレンとコブシってどう違うのかって。
・・・花が違うんですけど(笑)。では不親切なので、比べながら見ていきましょう。

 4/3 枝いっぱいの花 3/20 ハクモクレンの花
枝いっぱいに乱れ咲くコブシと きちんと並んだハクモクレンの花。

花の印象の違いは、芽の付き方にありました。
3/9 冬芽 3/9 ハクモクレンの冬芽の付き方
枝の向きに逆らわず、横向きも下向きもあるコブシの芽にたいして、
ハクモクレンの花の芽は全部 首をもちあげて、上を向きます。

3/18 つぼみ 3/26 ハクモクレンのつぼみ
コブシのつぼみは下向きでも咲きます。ハクモクレンのつぼみは上を向きます。

雰囲気や個体差に頼らない 決定的な違いは、コブシの花の下に付く一枚の葉っぱです。
もっとよく似たタムシバにさえ、この葉っぱは付きません。
ほら、ほどけ始めたつぼみの中に、葉っぱが一枚、大事にしまい込まれていたでしょう?

3/18 ひらきはじめ 3/18 ハクモクレンの花
横向きでもかまわず開くので、コブシの花は乱れがちです。
必ず上を向いてから開くので、ハクモクレンの花はすぼまりがちで、形が整っています。
コブシには野生の木もありますが、ハクモクレンは園芸種。
野趣と洗練。甲乙付けがたい風情ですね。

3/18 花 3/26 ハクモクレンの花
花がすっかり開いてしまうと、コブシとハクモクレンの花は 区別が付きにくくなります。
でも、ここまで見て下さった方はもう大丈夫。
?と思ったら花の付け根の 葉っぱを確認して下さい。

名前って、知っていても知らなくても、花の綺麗さに変わりはないのですが、
自分が感じる 親しみが違うんですよね。
ご近所のコブシやハクモクレンと、仲良くなっていただければ嬉しいです。

本当は、他にも色々違いがあるんですよ。それはまた、後ほど まとめますね。
今回の比較はここまでです。



3/18 めしべ、おしべの様子   4/10 花びらの散った後
↑左は、コブシの花の中心、緑色のめしべとピンクのおしべ。↑右は花びらのちった後。
この後、花の印象とは かけはなれた へんてこな実と、とっても可愛い種ができます。
このページの下の方でご紹介してますから、見ていって下さいね。



図鑑で見ると、ハクモクレンよりタムシバの方が似ているのですが、私の住んでいる地域では、あまり見かけないですね。
図鑑によるとタムシバが多いのは日本海側のようですから。





4/10 葉の芽01
葉の芽の出方が面白かったので、たくさん写真をとってみました。

花の芽は、毛深い皮をかぶっていて、毛皮のコートを着ているみたいなんですけど、こっちは葉の芽。
フランクフルトソーセージみたいでしょう。
4/10 葉の芽02 4/10 葉の芽03
で、それが縦に裂けて、中から出てくる芽が、まだもう一枚、うす緑の皮を着てるんですよ。寒がりなんでしょうか。
4/10 葉の芽04 4/29 若葉
薄皮を破るといよいよ緑の葉が出てきます。   ほら、すっかり大きくなりました。



若葉のスキャン画像(表) 若葉のスキャン画像(裏)
コブシの葉は、大きくて卵形。
先の方が広くて、卵をさかさまにしたような形なので、図鑑には広倒卵形と書いてあります。
左が表で、右が裏です。

ふちのギザギザはなく、葉先がツンと とがっています。
これは、一つの(ソーセージみたいな)芽から、この春出た分。
一つの芽から、けっこう たくさんの葉を広げるんですね。

写真の物はまだ若葉ですが、
夏の盛りになると、しっかりと厚くて(洋紙質)、頼もしい大きさ(6〜13cm)になります。
大きな葉が よくしげって、新緑の頃もとってもきれいですよ。
新緑



樹皮 冬 枝振り
幹の様子は、灰色でややなめらか。枝は細かく、大木になる木も多いそうです。



9/8 若い実 
実は、どうでしょう。ゴツゴツしていて、変な形じゃありませんか?
私は初めてみたとき、虫コブかと思いましたよ。
でも、夏の間、若い実にはほんのり赤みがさしていて、見慣れてくるときれいだなと思えるようになりました。


秋にすっかり実ると、さやが割れて真っ赤な実が顔を出します。
この実には一つ一つ糸が付いていて、ゆらゆら揺れて、鳥を誘ったりするらしいです。
ただ、宣伝するまでもなく、鳥たちはこの実が大好きなようで、
実ったなと思う間もなく、無くなってしまいます。
熟した実
この実の中の種は、なんと、チョコレート色でハートの形をしているんですよ。
ほら、かわいいでしょ。
2/1 コブシの種

何年か前、大きな木の下に、チョコレート色のハートが落ちているのを見かけて、
ずっと不思議に思っていたんですよね。木は、イチョウだったりヒマラヤスギだったり、
その木の実じゃないってはっきりわかるし、いったい何の種だろうって。
何年か越しの疑問がとけた時はうれしかったですね。

木の下に落ちている種は、鳥さん達が器用にくちばしで皮をむいて食べた後です。
(お腹の中を通ったわけではないので)汚くないですから、
拾ってみてくださいね。恋愛運アップのお守りになるかも♪しれませんよ。



秋には、葉は黄色になります。公園に仲良く並んだコブシの若木があるんですが、青葉の写真と並べておきますね。
9/2 真夏の青葉 11/13 秋の黄葉

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