山野に生え、5〜18mほどになる木。
桜が咲くより早く、春先に白い花を 枝いっぱいに咲かせる姿で 目をひきます。
ハクモクレン、タムシバ(別名・ニオイコブシ)など そっくりさんも多数。
よく聞かれるのですが、ハクモクレンとコブシってどう違うのかって。
・・・花が違うんですけど(笑)。では不親切なので、比べながら見ていきましょう。
枝いっぱいに乱れ咲くコブシと きちんと並んだハクモクレンの花。
花の印象の違いは、芽の付き方にありました。
枝の向きに逆らわず、横向きも下向きもあるコブシの芽にたいして、
ハクモクレンの花の芽は全部 首をもちあげて、上を向きます。
コブシのつぼみは下向きでも咲きます。ハクモクレンのつぼみは上を向きます。
雰囲気や個体差に頼らない 決定的な違いは、コブシの花の下に付く一枚の葉っぱです。
もっとよく似たタムシバにさえ、この葉っぱは付きません。
ほら、ほどけ始めたつぼみの中に、葉っぱが一枚、大事にしまい込まれていたでしょう?
横向きでもかまわず開くので、コブシの花は乱れがちです。
必ず上を向いてから開くので、ハクモクレンの花はすぼまりがちで、形が整っています。
コブシには野生の木もありますが、ハクモクレンは園芸種。
野趣と洗練。甲乙付けがたい風情ですね。
花がすっかり開いてしまうと、コブシとハクモクレンの花は 区別が付きにくくなります。
でも、ここまで見て下さった方はもう大丈夫。
?と思ったら花の付け根の 葉っぱを確認して下さい。
名前って、知っていても知らなくても、花の綺麗さに変わりはないのですが、
自分が感じる 親しみが違うんですよね。
ご近所のコブシやハクモクレンと、仲良くなっていただければ嬉しいです。
本当は、他にも色々違いがあるんですよ。それはまた、後ほど まとめますね。
今回の比較はここまでです。
↑左は、コブシの花の中心、緑色のめしべとピンクのおしべ。↑右は花びらのちった後。
この後、花の印象とは かけはなれた へんてこな実と、とっても可愛い種ができます。
このページの下の方でご紹介してますから、見ていって下さいね。
図鑑で見ると、ハクモクレンよりタムシバの方が似ているのですが、私の住んでいる地域では、あまり見かけないですね。
図鑑によるとタムシバが多いのは日本海側のようですから。
葉の芽の出方が面白かったので、たくさん写真をとってみました。
花の芽は、毛深い皮をかぶっていて、毛皮のコートを着ているみたいなんですけど、こっちは葉の芽。
フランクフルトソーセージみたいでしょう。
で、それが縦に裂けて、中から出てくる芽が、まだもう一枚、うす緑の皮を着てるんですよ。寒がりなんでしょうか。
薄皮を破るといよいよ緑の葉が出てきます。 ほら、すっかり大きくなりました。
コブシの葉は、大きくて卵形。
先の方が広くて、卵をさかさまにしたような形なので、図鑑には広倒卵形と書いてあります。
左が表で、右が裏です。
ふちのギザギザはなく、葉先がツンと とがっています。
これは、一つの(ソーセージみたいな)芽から、この春出た分。
一つの芽から、けっこう たくさんの葉を広げるんですね。
写真の物はまだ若葉ですが、
夏の盛りになると、しっかりと厚くて(洋紙質)、頼もしい大きさ(6〜13cm)になります。
大きな葉が よくしげって、新緑の頃もとってもきれいですよ。
幹の様子は、灰色でややなめらか。枝は細かく、大木になる木も多いそうです。
実は、どうでしょう。ゴツゴツしていて、変な形じゃありませんか?
私は初めてみたとき、虫コブかと思いましたよ。
でも、夏の間、若い実にはほんのり赤みがさしていて、見慣れてくるときれいだなと思えるようになりました。
秋にすっかり実ると、さやが割れて真っ赤な実が顔を出します。
この実には一つ一つ糸が付いていて、ゆらゆら揺れて、鳥を誘ったりするらしいです。
ただ、宣伝するまでもなく、鳥たちはこの実が大好きなようで、
実ったなと思う間もなく、無くなってしまいます。
この実の中の種は、なんと、チョコレート色でハートの形をしているんですよ。
ほら、かわいいでしょ。
何年か前、大きな木の下に、チョコレート色のハートが落ちているのを見かけて、
ずっと不思議に思っていたんですよね。木は、イチョウだったりヒマラヤスギだったり、
その木の実じゃないってはっきりわかるし、いったい何の種だろうって。
何年か越しの疑問がとけた時はうれしかったですね。
木の下に落ちている種は、鳥さん達が器用にくちばしで皮をむいて食べた後です。
(お腹の中を通ったわけではないので)汚くないですから、
拾ってみてくださいね。恋愛運アップのお守りになるかも♪しれませんよ。
秋には、葉は黄色になります。公園に仲良く並んだコブシの若木があるんですが、青葉の写真と並べておきますね。
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